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法助動詞

英語喫茶法助動詞>2.2. 可能性(主観的意味)




 

2.2. 可能性(主観的意味)

 可能性の意味はcanにもあるが、主な違いはcanの可能性が客観性をおびるのに対して、mayの可能性は主観性を持つことである。
 また、そこからこのmayは疑問文では用いられない。なぜなら、話し手自身の主観的判断を聞くことは不自然だからである。このことについては、2章の4.2.疑問文でも述べる。

(6)
 a. The Italian soccer team has advanced to the finals. They may win against France.
 (イタリアは決勝へ進みました。イタリアはフランスに勝つかもしれない。)
 b. He may be late.
 (彼は遅くなるかもしれない。)

 たとえば(6a)について次のように比較してみる。

 (7)
  a. They may win against France.
  b. They can win against France.

 (7a)はmayを用いているが、それに対して(7b)ではcanを用いて書き換えている。この場合(7a)ではイタリアが決勝へ進んだのを見て話し手の主観的な観点から話しているが、自信をあまり持たない推測でもある。(mayにはperhapsの意味が含まれている。)
 これに対して(7b)では、イタリアのサッカー史上から考えて、話し手の一般的な推測から話している。(*9)


*9  言い換えると、mayはその時点の状況からの可能性ということになり、canは理論的な観点からの可能性ということになる。したがって、話し手の確信度はcanのほうが高いが、出来事が生じる可能性としてはmayのほうが強いこともある。


 ところで、否定文では、否定の領域に差が見られる。なぜならmayの否定は本動詞を否定するのだが、canの否定は法助動詞そのものを否定するからである。(6b)のHe may be late. について比較すると次のようになる。

 (8)
  a. He may not be late.
  (彼は遅くならないかもしれない。)
  b. It is possible that he will not be late.

 (9)
  a. He can't be late.
  (彼は遅くなることはないだろう。)
  b. It is not possible that he will be late.

 上の例で(a)を書き換えたのが(b)であるが、それぞれにおいてnotが否定する領域が異なっている。このことについては、2章の4.1.否定文のところでも述べる。


 次はmightを用いてmayと比較した例である。

 (7)
  a. She may be in the room.
  (彼女は部屋にいるかもしれない。)
  b. She might be in the room.
  (彼女はひょっとしたら部屋にいるかもしれない。)

 可能性の意味では、上のようにmightは普通の過去時制(直説法)としての意味を持たず、mayと同じ「現在からの推測」となるのが普通である。ただ、推測に対する確信度は上の日本語のように低い意味を持つ。(*10)


*10  このようにmightはmayの過去時制形式ではあるが、用いられ方は一致しない。
 可能性の意味では単独で普通の過去時制(直説法)として用いられることがあるが、まれである。しかし、間接話法においての時制の一致では自由に用いられる。

 I thought that it might be true.
 (それは本当かもしれないと思った。)

 また、現在の推測を表す可能性の意味では、mayとmightは交換をすることができる。ただ、mayよりもmightのほうを用いることが多くなっている。それはmayとmightの意味において確定度などの差がなくなってきているからである。特に口語においては、mightのほうを用いる傾向にある。













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