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 no(形容詞)から生じる賞賛や謙遜などの意味について

 noは形容詞としては「少しもない」という意味で、名詞の前で用います。形容詞として名詞を修飾しますが、意味の上では文全体を否定する全体否定です。
 名詞は可算名詞と不可算名詞のどちらにも用いることができますが、このようなnoの形容詞用法については、no(形容詞)についての中で解説をしています。
 次は形容詞としてのnoの例ですが、no(形容詞)についての中で解説している意味とは、少しニュアンスが異なります。

 a. It's no joke.
  (決して冗談ではありません。)
 b. I'm no fool.
  (決して馬鹿ではありません。)

 上の例のaのように、このnoはjokeの前で用いられて「冗談ではない」という意味になります。
ただnoは強い意味を持つ場合もあります。そうすると「決して~でない」という意味もあらわすことになります。
 たとえば、noではなくてnotを用いた場合のIt's not joke.は、単に「それは冗談ではありません。」という意味です。これは単純に「冗談ではない」と否定しているだけの意味の文です。
 ところが、aのようにIt's no joke.とすると少しおおげさに伝えることにもなります。
bのI'm no fool.も同様で、これは「馬鹿ではない」という意味にもなりますが、強い意味を込めて「決して馬鹿ではない」という意味にもすることができます。
 このような意味上の理由から、noの形容詞用法にはもう1つ別の意味が生じます。それは聞き手をほめたたえたり、話し手が控えめに発したりする場合です。

 c. She is no beginner.
  (彼女は初心者なんかではない。)
 d. She handled the situation very calmly. She is no ordinary person.
  (彼女はその状況にとても冷静に対処をしました。彼女は普通の人ではありません。)

 cのno beginnerで「初心者ではない」という意味ですが、話し手は彼女についてほめたたえる意味が含まれます。すると、「決して初心者ではない」という意味にもなりますが、そこから「彼女はかなりの経験があるようだ」という意味にもなります。
 dについても、no ordinaryで「普通の人ではない」という意味ですが、「決して普通の人ではない」という意味にもなります。そしてそこから「彼女はただものではない」という意味になります。cとdは話し手が彼女について、ほめたたえている意味の文です。
 つまり形式はnoを用いた否定文ですが、意味上は肯定的な意味を含む文ということになります。
 次のように上の2例を比較してみます。

 e. She is not a beginner.
  (彼女は初心者ではありません。)
 f. She is not an ordinary person.
  (彼女は普通の人ではありません。)

 eではno beginnerの代わりにnotで否定したnot a beginnerを用いています。
 この文の意味は単に「初心者ではありません」という意味で、その否定の事実だけをあらわしています。
 またfではno ordinary personの代わりに、notで否定したnot an ordinary personが用いられていますが、これについても単に「普通の人ではありません」という意味で、その否定の事実だけをあらわす文となっています。
 つまりnotによる否定は、単純な否定をしてその事実を伝えますが、noによる否定の場合は、これまでの例のように賞賛や謙遜などの意味があらわれます。
 次も同様の例になります。

 g. I'm not an artist.
  (私はアーティストではありません。)
 h. I'm no artist.
  (私はアーティストなんかではありません。)

 gはnotでan artistを単に否定している文で、意味は「私はアーティストではありません」と、話し手が自分自身の事実を伝えているだけの意味となります。
 しかしhでは、noを用いてartistを否定していることから、「私はアーティストなんかではないですよ」という意味になり、つまりは話し手の謙遜の意味をあらわす文となります。










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