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2.2.3.過去時制及び現在時制との比較、心の位置(M)について

 ここでは過去時制と現在時制の意味と時間表示を比較し、さらにそこから心の位置(M)の意味を突き詰めていく。
 過去時制とは、出来事を過去のこととして捉えて、現在に影響を与えないことを特徴としている。これは、話し手の考えや思いである、心境との切り離しを生じさせている。

 しかし、なぜ出来事を過去の事実として捉えることが、現在との切り離しを意味するのかについては、それは話し手の焦点が特定の過去に移動するからである。

 したがって、過去時制を用いて表す場合は、ある特定の過去を示す副詞が続きやすいことにもなる。当然それは話し手の心境から自然に生じることである。いうまでもなく、過去を示す副詞が続かない例もあるのだが、その場合であっても前後の文脈または話し手が過去時制を用いて表すことから、特定の過去は言外に含まれている。つまりこのことは、過去を示す副詞がなく、また言外に特定の過去が含まれていないと思われる過去時制の例は、聞き手に対してある程度の不自然さを与えることにもなるのである。

 ここで、現在時制と過去時制の意味を比較するために、それぞれの時間表示を次に示すことにする。

(17)
a. 現在時制


b. 過去時制


 発話時(S)は当然現在時にあるのだが、現在時制の時間表示では3点が全て重なっているのに対して、過去時制の時間表示では心の位置(M)と出来事時(E)が過去時へ置かれている。この心の位置(M)とは、話し手の焦点に応じて置かれるのである。




 心の位置(M)とは「心」が示すように、これは話し手の心境の位置を示す点である。そこで現在時から離れるということは、現在との心のつながりを断ち切ることを意味するのである。言うなれば、現在時から離れるか離れないかにより、出来事との影響関係をも表している。

 たとえば、会話中において一方がI live in Hakodate.と発話したとする。その意味はこの話し手が現在において函館に住んでいるという状態を表している。このとき話し手は、自身が函館に住んでいることを「現在の事実」として捉えて発話していることになる。心の位置(M)は現在時から離れないために、その現在との関係が保たれたままである。

 しかし、もう一方がI lived in Hakodate.と発話したとする。これは過去時制の例であるが、意味はある特定の過去においてもう一方の話し手が函館に住んでいたということを表している。この場合特定の過去を示す副詞はこの例には続いてはいないため、この単文のままでは不自然とされることもあるのだが、会話中における前後の文脈関係から言外に過去を示す副詞が含まれている。
 この例は、函館に住んでいたという事実は過去のことなので、心の位置(M)は過去時に移動する。心の位置(M)は現在時から離れることになるので、現在との関係を切り離してしまう。事実I lived in Hakodate.とは、現在において函館には住んでいないという意味が含まれることが普通とされる。
 
 これは話し手が特定の過去を念頭におき、回顧的に発話しているとも考えられる。そしてたとえ前後の文脈上から、その意味が薄れたとしても、現在において函館に住んでいるのかまたは住んでいないのかについては不明とされるのが普通である。


 以上のようなことが過去時制の意味である。それに対して過去と現在との関係を断ち切らずに、関係を保ったまま過去の出来事を表す場合は現在完了形を用いることになる。これについては、次章で述べていく。



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