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0.2. 認識的用法と根源的用法(及び本書で言う主観と客観について)
 法助動詞を用いる際に話し手は、大別すると認識的(epistemic)または根源的(root)の心境が生じる。
 認識的用法とは、たとえば話し手がある出来事について事実かどうかを判断することである。たとえば「〜かもしれない」というような、自信の有り様などを表すことになる。

 (2)
  She must be at the office.
 (彼女はオフィスに着いているに違いない。)

 上はその例だが、このmustは話し手の断定的な判断を表している。他にはmayなどの法助動詞が話し手の推測を表すが、同様の意味を持つ副詞にはpossibly、probably、certainlyなどがある。(*2) そこで上の例は次のように書き換えることもできる。

 (3)
  It is certainly that she is at the office.


*2  これらは話し手の心的態度を表す副詞で、いわば法性を表す副詞である。そこで「法副詞」とも呼ばれる。また、be possible toや、be certain toなどは「法形容詞」と言う。


 これに対して根源的用法とは、認識的用法以外を指し、出来事に言及はするが、それが事実かどうかは問題としない。これには意味として「義務」や「許可」などが相当する。

 (4)
  You must come by eight o'clock.
 (8時までに来なければなりません。)

 上は同じmustでも「義務」の意味で用いられている。
 そして、認識的用法と根源的用法についてだが、多くは認識的用法が「主観的」意味に相当し、根源的用法が「客観的」意味に相当する。そこでここではより理解しやすいように、代わりにそれらの「主観」と「客観」を用いて述べていく。
 
 たとえば、canとmayでは意味が類似することが多いが、2つを比較した場合はcanのほうが根源性をおびる。そこでcanには「客観性」と付しているが、さらにcanが表す意味のうち「能力」は、その意味が根源的なため「客観的意味」としている。つまりこのときの「能力」とは、「客観性の助動詞が表す客観的意味」ということになる。
 
 また、canには「可能性」の意味もあるが、これは認識的である。そこでこの意味については、「客観性−主観的意味」としている。このとき「客観性の助動詞が表す主観的意味」ということになるが、「客観性をおびながらも主観的意味をうちに含んでいる」ということである。詳細については1章で述べていく(*3)


*3  canの「可能性」の意味のように「客観性(法助動詞自体の意味)−主観的意味(法助動詞の意味)」は、客観性という少し離れたところから主観的意味を表すような感じになるが、その程度には差がある。
 
 また、助動詞が表す主観的意味と客観的意味とは区別が難しい場合も多い。
 それは話し手の心境によって、助動詞が表す意味も多様になるためである。したがって、法助動詞が表すいくつかの意味について「客観的意味」を持っていても、そこには「主観的意味」を含むこともある。
 
 いずれにせよ、話し手の心境から生じることのため、明確な区別ができない場合があるのだが、大別すると本文で述べているように意味づけをすることができる。








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