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仮定法過去-英語の時間的感覚Ⅱ

 

8.1.2. 仮定法過去

 前節で述べた仮定法現在とは現在においての出来事の仮定を表すことであるが、仮定法過去も文字通りに過去のことを表すことではない。表すことは仮定法現在と同じ現在のことである。
 しかし仮定法現在が持っている意味は「出来事の不確実性」であるのに対して、仮定法過去が持っている意味は「事実に反すること」である。これを言い換えると、確実に生じることのない出来事について仮定することである。


 また、仮定法過去とは過去時制を用いる形式である。if節と共に用いることが多い。

 (4)
  a. If I were not ill, I could finish this today.
   (私が病気でないのなら、これを今日中に終えられるのに。)
  b. If I could skate as well as you do, I would be really happy.
   (あなたのようにスケートが滑られるのなら、私は本当に幸せだろう。)
  c. If he were the boss, he would not dismiss us.
   (彼が社長なら、私たちを解雇しないだろうに。)

 仮定法過去は確実に生じないことを表す用法なので、(4a)では実際に病気なので今日中に終えることができないという意味が含まれる。
 (4b)では話し手がスケートをうまく滑られないことが意味として含まれ、(4c)では彼は実際には社長ではなく、話し手は解雇されることが含まれている。

 このような仮定法過去について、時間表示に示すと次のようになる。

(5)
a.
英語の仮定法過去1 英語の仮定法過去1

b.
英語の仮定法過去の時間表示2 英語の仮定法過去の時間表示2

 仮定法過去については、事実とは異なることを仮定するために時間表示に示すのには例外的となる。なぜなら、形式だけを考えるならばそれは過去時制なので時間表示は(5a)になるからである。
 過去時制から、心の位置(M)と出来事時(E)は過去時に置かれるのだが、仮定法過去の意味は過去ではなく現在の事実に反することなので(5b)のようになる。

 これは、現在時において発話時(S)と心の位置(M)、出来事時(E)の3点が重なることになる。
 しかし、実際に話し手が発話するときに現在時制を用いないのは、過去時に仮に想定される心の位置(M)と出来事時(E)があるためである。この2点については(M)と(E)のように、( )を用いて仮に設定されることになるが、この( )は過去時制が持っている現在との関係の切り離しではなく、現在から心の位置(M)が距離を置く、いわゆる迂言的な意味を表す。


英語の時間的感覚


(6)
If we caught the 7 o'clock train, we could get there by 10.
(私たちが7時の電車に乗っていれば、10時までにそこへ到着できるだろうに。)

 上の例も同様である。話し手が7時の電車には実際に乗ることができず、10時までには目的地へ到着できないという意味が含まれている。


 ところで、上の例についてはもう1つの意味を表す可能性がある。それは、いわゆる「単なる仮定」である。
 そうすると上の例の意味は「7時の電車に乗ると、10時までにそこに到着することができると思います。」のようになるのだが、これは当然現在の事実に反するという意味は持っていない。
 そして、仮定法過去の用法においての迂言的な意味は、丁寧な表現としての提案や助言、そして依頼などについても表すことが可能になる。

 (7)
  a. I would appreciate it if you would mail this letter for me.
   (この手紙を投函していただけるとありがたいのですが。)
  b. If I were you, I would wait a bit.
   (私があなたなら、もう少し待つだろう。)

 上の2例はいずれも仮定法過去の形式である。しかし、表していることは単なる仮定となる。
 (7a)が表していることは丁寧な依頼であり、(7b)も相手に対して、もう少し待ったほうがいいというように丁寧な助言となっている。


英語の時間的感覚









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