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英語の時間的感覚Ⅱ

英語喫茶英語の時間的感覚Ⅱ>心の位置(M)の再定義




5.心の位置(M)の再定義

 

 これまで、現在時制や過去の時間帯の形式及び未来の時間帯の形式に時間表示を用いながら述べてきたが、ここで心の位置(M)の本質的意味について突き詰めていくことにする。
 心の位置(M)とは時を表す副詞に応じてその位置が決まるとこれまで述べてきているが、このことは確かである。しかし、心の位置(M)とは、そのためだけに単純に時間表示上に置かれているのではなく、実は話し手が発話の際に念頭に置く時点そのものであり、話し手が形式を選択する上での鍵となるからである。


英語の時間的感覚


5.1. 未来表現の時間表示再考
 未来表現には2つの時間表示があり、それぞれは近い未来と遠い未来の未来表現に相当する。これらの時間表示についてもう一度示す。

(1)
a. 近い未来の未来表現
英語の未来表現(近い未来の未来表現)の時間表示 英語の未来表現(近い未来の未来表現)の時間表示

b. 遠い未来の未来表現
英語の未来表現(遠いら未来の未来表現)の時間表示 英語の未来表現(遠いら未来の未来表現)の時間表示

 willまたはshallを用いる形式は、遠い未来の未来表現に相当する。そうすると、心の位置(M)は現在時から離れた未来時に置かれる。このことは「未来を示す副詞の共起が期待されること」につながる。しかしながら、次の例では現在を示す副詞と共起している。

 (2)
  a. The fireworks will start now.
   (花火はすぐに始まるでしょう。)
  b. She will come now.
   (彼女は今来ますよ。)

 上の2例ではnowと共起しているが、心の位置(M)が時を表す副詞に応じるとだけ定義した場合、時間表示に示すのなら心の位置(M)は現在時に置かれることになる。

 しかし、willやshallが持つ基本的な意味は「予測」である。したがって出来事についての原因や計画は現在に存在することが少なく、またその予測性ゆえに、未来を示す副詞が続かない場合は不自然に感じられる場合も多い。

 そこで上の例ではたとえnowが共起していたとしても、出来事と現在との関係は弱く、心の位置(M)も時間表示上では現在から離れることになる。このことは心の位置(M)が単に時を表す副詞に応じるだけではないことになるが、近い未来の未来表現でも同様のことが言える。

 (3)
  a. The ship leaves for Seattle tomorrow.
   (その船は明日シアトルへ発ちます。)
  b. We are arriving at Tokyo tonight.
   (私たちは今夜東京に到着します。)
  c. We are going to dine at a restaurant tomorrow.
   (私たちは明日レストランで食事をします。)

 上の3例はいずれも近い未来の未来表現形式だが、未来を示す副詞が共起している。この場合その副詞に応じて心の位置(M)を決定するのならば、未来時に置くことになり、形式上近い未来に関わらず時間表示は遠い未来に相当することになる。
 しかし、これらについても実際はそうならないのは、時を表す副詞に関係なく出来事の原因や計画が現在に存在しているからである。


 さて、これまで述べたことから心の位置(M)とは確かに時を表す副詞に応じるのだが、それだけではないことは明らかである。
 本質的な心の位置(M)の意味は、別にあることになる。ここで、心の位置(M)とは話し手が置く「焦点」と考えることができる。そしてその焦点が向かう時点によって形式が選択されるのだが、その時点とは話し手が発話の際に念頭に置く時点である。それは、話し手の心境と密接に関係している。
 このことは、過去時制と現在完了形の比較からも言うことができる。


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