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8.仮定法について
8.1. 仮定法

 仮定法はその名の通り「法(mood)」の1つである。
 法とは、話し手の心的態度を表す動詞の語形変化であり、仮定法の他には直説法、命令法がある。したがって、時制や相とは方向が異なる。Reichenbachに由来するS、R、Eの3点は、時制及び相の時間関係を表すために用いられ、仮定法については用いられない。しかしここでは、仮定法について理解を深めるためにS、M、Eを用いて述べていくことにする。
 
 英語において仮定法には仮定法現在、仮定法過去、仮定法過去完了があるが、現在では仮定法自体あまり用いられなくなってきている。また、これらの3つの中でも仮定法現在はほとんど用いられなくなり、代わりに直説法が用いられている。
 さらに、仮定法過去とは文字通りの「過去」の事実ではなく、「現在」の事実と異なることを表す用法である。過去の事実と異なることを表すためには、仮定法過去完了を用いる。
 これらの仮定法は、if節と共に用いることが多い。


8.1.1. 仮定法現在

 仮定法現在とは、動詞に原形を用いる形式である。それが表すことは現在においての仮定である。
 その表すことについての実現性が、不確かであることを意味する。
 このことは仮定法過去や仮定法過去完了の意味である「事実に反すること」とは異なる。2つの形式については8.1.2.の仮定法過去 や8.1.3.の仮定法過去完了 で述べる。
 
 現在では仮定法現在については動詞の原形を用いずに、直説法で表すのが普通になっている。そこで仮定法現在を用いるのは一部の用法に限られるのだが、ここではその一部の用法である、要求や提案などを意味する動詞や名詞の後に続く名詞節で用いられる仮定法現在について述べていく。

(1)
a. They decided that the match be put off.
(その試合は延期することに決まった。)
b. It is important that she learn to have a global vision.
(彼女はグローバルな視野を持つようになることが大切だ。)
c. It was necessary that he finish the job by the following day.
(彼は翌日までにその仕事を終えることが必要だった。)

 上は仮定法現在の例であるが、この仮定法現在とは「要求」や「提案」の他に「主張」、「必要」、「決定」などを表す動詞、形容詞、名詞に続く名詞節で用いられる。
 したがって、上の例においては(1a)のthat節でbeが用いられており、(1b)では主語がsheなのに関わらず語尾にsのないlearnが用いられている。また、(1c)においても同様にthat節でheの後に関わらず、語尾にsのない動詞の原形finishが用いられている。

 先にも述べたが、仮定法現在は現在においてはほとんど用いられずに代わりに直説法が用いられるが、上の例に見られるような形で現在でもその用法が残っているのである。


 ところで、このように用いるのは主にアメリカ英語においてである。イギリス英語ではshouldを用いている。そこで上の3例を、イギリス英語の用法にあわせて書き換えると次のようになる。

(2)
a. They decided that the match should be put off.
b. It is important that she should learn to have a global vision.
c. It was necessary that he should finish the job by the following day.

 このように仮定法現在を名詞節に用いることになる動詞にはdecideの他に、ask、desire、insist、intend、move、order、propose、recommend、request、require、suggest、urgeなどがある。
 また、形容詞にはanxious、compulsory、desirable、essential、imperative、important、necessary、proper、rightなどがある。
 そして名詞にはdecision、desire、insistence、order、proposal、recommendation、request、suggestionなど動詞を名詞化したのがある。

 この仮定法現在について時間表示に示すと次のようになる。

(3)
a. They decided that the match be put off.


b. It is important that she learn to have a global vision.


 上の時間表示において、仮定法現在の例は従属節が名詞節なので上のように2つの時間表示で示す。上段の時間表示は主節にあたるが、下段は従属節である仮定法現在の時間表示を表している。
 
 仮定法現在は現在の事実に対する仮定であるので、心の位置(M)と仮定である出来事の時点を表す出来事時(E)は共に現在時にあることになり、時間表示上はこれまでの現在時制と同様に表される。

 仮定法現在が用いられるのは、その動詞が表す要求や提案が結局は実現の可能性について確実ではなく、話し手の仮定的な要素を含んでいることが理由の1つとして考えられる。

 また、(3a)の下段の時間表示が表すように仮定法現在はたとえ主節の動詞が過去時制であっても時制の一致を生じさせることはない。これは仮定法現在が表していることは、あくまでも仮定のためである。



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