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2.1. 過去形の主な用法
 「過去」とは、「あの時」や「その時」などすでに過ぎ去った時間である。ここではそのことを表す過去形について述べる。過去形が表す時間を図にすると次のようになる。

(1)



 赤い丸は過去に生じた出来事を表しているが、このことを表す過去形の例はやはり無数にある。しかし、過去形が持っている意味はそれでも1つだけと考えて構わない。それは「話し手が出来事を過去のこととして捉える。」ということである。

 (2)
  a. We went to Hokkaido for a vacation last summer.
   (去年の夏、私たちは休暇を過ごしに北海道へ行きました。)
  b. He missed many classes last year.
   (彼は去年多くの授業を欠席しました。)
  c. She resembled her sister.
   (彼女は姉と似ていた。)
  d. Mary looked happy.
   (メアリーはうれしそうな顔をしていた。)

 上の4例で(2a)と(2b)が表しているのは、「出来事」であり、(2c)と(2d)が表しているのは「状態」である。


時間感覚カット


 ところで、過去においての「状態」とは、その意味に継続的意味が含まれているので、次のように図にすることもできる。

(3)



 下の赤い軸は状態が継続していることを表している。
 たとえば、(2c)のShe resembled her sister. では、姉に似ていたことがある程度の時間的継続であったことを意味することになる。

 過去形の意味とは「話し手が出来事を過去のこととして捉える」ことであるが、このことは現在と出来事との関係の「切り離し」を意味する。上の図をみてもわかると思うが、赤い軸で示す状態は過去の時間帯において広がっているだけで、現在とは接していない。
 このことから、先に示した例について意味を考えてみると、(2c)のShe resembled her sister. は、過去において彼女が姉に似ていたことだけを表していることになる。現在において彼女が姉に似ているかどうかは不明である。


 次も過去形の例だが、何のことを表しているかはすぐにわかるだろう。

 (4)
  a. After work he played tennis every day.
   (仕事の後、彼は毎日テニスをした。)
  b. Ted often walked along the street during his lunch breaks.
   (テッドはよく昼休みに通りを歩いた。)

 上の2例は、いずれも過去に習慣として続けていたことを表している。そこで次のように図にすることができる。

(5)



 赤い軸は継続している習慣を表しているが、それは過去において広がる時間的幅である。

 ところで、すでに推測されている方もおられると思うが、過去形は上の図の赤い軸が表すように現在と接していない。そこで、前の例をもう一度考えてみると、たとえば(4a)のAfter work he played tennis every day. では、現在において彼はもはや仕事の後にテニスをしていないことが意味として含まれてくる。


時間感覚カット






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